ハッピナブログ

ハッピナ

日々悠々といふ訳でもなく

それにしても久しぶりにブログを書くうえだ淳。だいたい、書きたい時は書くくせに、書かない時は書かないのである(あたりまえだ)。
まぁ折角だから、こないだの公演についてつらつらと書いてみる。ちなみに、こないだの公演てのは、「オーバー・ザ・レインボー!!」て作品の事だ。あれから一年ぐらい経った気もしよるので、記憶もかなりあいまいで、まるで健忘症なボクだが、いつもの事なんで気にしない、しない。
劇場に足を運んで下さったお客さんには、この芝居、ドタバタ、ギャボー、ギャボーとわめいてばかりのドタバタギャボー芝居として目に写った事だろう。しかし、脚本を書いたわたしは、全然違う作品を想定していたのだった。
恩田陸の「麦の海に沈む果実」といふ小説をご存じだろうか。
青い湿原の中に、小島のごとく建っている、全寮制の不思議な高校。その、隔絶された世界で暮らす、謎めいた少年少女たち。そこに、主人公の少女が転校してきたその時から、事件は起こる…。
といった、不思議なミステリーといった、きらびやかで謎めいた小説なのだが、それを読んだ私は、「よし、わしもこんなんを、やろう」と、盛り上がってしまったのであった。
元々学園モノをやろうと考えていたが、これで方向性は決まった!と歓喜にうちふるえ、さっそくプロットを考えはじめた。
ふむ、孤島のよな学園ならば、いろんな謎があったり、殺人事件がおきたりサスペンスフルな展開がいけそうだ、線の細いかよわい少女が主人公で、しかし様々な事件にからんでゆくから、心に強い部分もなくては、そして主人公にからむ謎めいたキャラクタも必要だ、やっぱ美少年だろ美少年。いつも孤独なポジションの謎めいた美少年が必要だ。勿論金髪で巻き毛だ。巻き毛は勿論沈丁花の茂みにからみつくのだ。ジンチョウゲ、ジンチョウゲ、からみつくよ。
そして秀才の少年や、時折主人公の前に現れては学園の謎について意味ありげな事を言う勝ち気な少女、他にも謎めいたキャラクタばかりで、静かな雰囲気の中、サスペンスとミステリアスがじょじょに盛り上がってゆく、そんな、ちょっと耽美な、学園ミステリー芝居をつくるのだ!うをー!と、自分を高揚させながら執筆に乗り出したのであった。
そして。
前回公演を観てくださった皆様にはお気づきの事であろうが、脚本家の目論見は、執筆開始後、早々に挫折したのであった。さもありなん、だいたい、耽美なミステリーなどといったシロモノ、耽美を「たんび」でなく、ずっと「ちんび」と読んでいた、おまぬけ脚本家に書ける訳がなかったのである。だいたいそーいった感じのモノを舞台でやっても、基本的にはおまぬけである。耽美な芝居など、キャストがすべて女性ならばまだなんとかなったかもしれんが、むくつけき男も集うわがハッピーナッツ(勿論、むくつけき男の筆頭こそ、わたくし、うえだ淳だ)、とても耽美な世界観などやりようもなかったのである。
そもそも脚本家にそのよーな作品をつくる素地がなかったといえよう。あぁ、恩田陸の小説なんぞに影響されなんだらよかった、どーしよう、脚本はよ書かねば稽古もできんべや、と悩む、ダメな脚本家うえだ淳であった。
はたして「オーバー・ザ・レインボー!!」という作品は本当にできあがるのか?!いや、まぁ、結果的にはできあがったんだが、まぁ執筆前の心境て事で。
次回、完結編に続く。あまりたいした内容ではないから期待せず、しかし待て。
そんな訳で、「アリス・イン・ワンダーランド」が宣伝やらパンフ表紙やらが、全部、主役がジョニーのデップさんみたいな感じになってる事が気にくわない、うえだ淳でした。
だって、映画内容だってきちんとアリスが主役だし、アリス役のかたが、かわいらしいんだぞ。もっと押し出せよ!
はいさい、ではまた。